研究を通して感じた虫歯予防の重要性
私は勤務医時代に社会人大学院に通っていました。そこではむし歯の研究をしていました。研究テーマはキシリトールよりもむし歯菌を抑制する糖を希少糖の中から探すというものです。希少糖とは,自然界に存在量が少ない単糖とその誘導体として国際希少糖学会によって定義されているものです。近年大量生産法も確立されています。自然界に大量にある糖いわゆる一般的に使用されている砂糖はエネルギーとなりえますがこの希少糖は代謝されにくく,様々な生理活性が報告されています。その時に行っていた実験結果では希少糖の中のDータガトースという糖がむし歯菌の活動を抑制するという結果が出ました。
研究の過程で虫歯菌の入った培地にごく少量の糖を入れ培養します。ごく少量の糖を入れただけで虫歯菌の代謝物で培地は濁り、さらに急激に酸性に傾きます。当たり前の事ですが実際目の当たりにすると虫歯菌のパワーに驚きます。濁った培地、そしてその強い酸・・・この環境だったら詰め物してもまた虫歯になるだろうな・・・。そう感じたものです。
この環境が虫歯の原因であり、環境を変える事(以下環境整備と略す)こそが虫歯の治療ではないのか。そう感じました。